てんかん患者のてんかん患者によるてんかん患者のためのブログ
てんかん患者が起こした2つの事故が僕に残したもの

笑顔を届けるてんかん講師の中村真二です。

 

今日は僕の人生に大きな影響を与えた2つの事故の話です。

この現実が僕の心に深く刺さり、「何かをしなくては」と思わせました。

 

2011.4月「鹿沼市クレーン車暴走事故」

2011年4月18日午前7時45分ごろ、国道293号にて集団登校中だった児童の列(約20 – 30人)に10トンクレーン車(ラフテレーンクレーン)が突っ込み、直後に民家の垣根と作業小屋の一部を破壊して停車した。児童のうち6人がはねられ全員が死亡した。

クレーン車を運転していた男(当時26歳 )はてんかんの持病があった。
(Wikipediaより)

鹿沼市クレーン車暴走事故

 

 

2012.4月「京都祇園軽ワゴン車暴走事故」

2012年4月12日に京都府京都市東山区祇園で、軽ワゴン車(ホンダ・バモス ホビオまたはアクティ)を運転していた運転手の男性が、運転中に暴走事故を起こし、運転者を含む8名が死亡、12人が重軽傷を負った交通事故。事故原因は最終的に運転手の持病のてんかん発作とされた。(Wikipediaより)

京都祇園軽ワゴン車暴走事故

 

あまりにも衝撃的なニュース

21歳の僕は期待に胸を膨らませていました。

「てんかんは個性だよ」という友達の言葉を聞き、”てんかんは自分の武器でもある”という考えで様々なことにチャレンジしようと考えていました。

関連記事:てんかんで悩んでいる僕を救ったのは、友達の何気ない一言だった

 

 

しかしそんなある日、衝撃的なニュースがテレビから流れてきました。

 

「てんかんの持病を持つ運転手が交通事故を起こし、児童6人が死亡。」

 

心臓を握り潰されるかのような息苦しさと痛みに襲われ、心が大きくえぐられました。

 

このニュースは僕に2つの苦しみを与えました。

「自分と同じ病気を持ってる人が事故を起こしてしまった」

鹿沼市の事故があった日の夕方、家のテレビで流れてきたニュースに唖然としました。

てんかんが原因での事故は過去にもあったということは、ネットのニュースなどでなんとなく知っていました。

しかし、実際にテレビでリアルに報道されているのを見ると、複雑な気持ちになりました。

 

“自分と同じ病気を持っていて、同じ苦しみを持っている人が、取り返しのつかないことをしてしまった。”

呼吸が荒くなり、しばらくは何も考えられませんでした。

 

 

”もし自分がこのような事故を起こしてしまったら・・・”

そんなことを考えると、とても立ってはいられませんでした。

 

被害者の方、そして被害者の家族や周り方の人生を大きく狂わせ、多くの人に非難されることになります。

何をしても埋め合わせられるものではなく、一生をかけたとしても償いきれません。

行き場のない苛立ちと失望感が、僕の頭の中を埋め尽くしていきました。

 

しばらくすると、自分の家族や周りの人の悲しんでいる顔が浮かんできました。

必死に謝っている両親の姿や、申し訳なさそうに生活を送る兄妹、なんとなく距離を置き始める友達・・・

すべてが僕の心を締め付けていきました。

 

 

生きていることにすら罪悪感を覚えました。

 

”自分じゃなくて良かった”という思いではなく、

”このようなことを実際に背負って生きなければいけない人がいる”という事実が、僕を大きく苦しめました。

 

「てんかんを隠して生きている人がいる」

てんかんが周りに知られることによって生きにくくなることは確かです。

 

車の運転は制限され、会社によっては働けなくなることもあり、生活の中にも様々な影響があります。

 

僕も昔はてんかんがあることによって、たくさんのことに苦しめられました。

しかし今ではてんかんを受け入れ、周りの人の理解と協力により、普通に生活が出来ています。

 

でも、世の中にはてんかんであることを受け入れられず、周りに隠している人も少なくないと思います。

確かに周りに隠すことはリスクも少なく、何もなければ他の人と同じ生活が出来ます。

ただ、心がすごく痛みます。自分に嘘をつかなければいいけないのですから。

 

そうやって“自分と同じ病気の人”が、心を痛めながら生活をしていると思うと、とても辛い気持ちになりました。

 

 

てんかんを持っている人は生きにくい。だからこそ。

てんかんを持っている人が事故を起こしたというニュースがある度に、「てんかんを持っている人は生きにくい」と思います。

 

ただ、

・運転手の人がてんかんを申告出来ていれば・・・

・車ではなくてバスや電車などの交通機関を利用していれば・・・

そう考えると、避けることの出来た事故だと思います。

 

てんかんを持っている人は大変です。

でも、僕はこのときから「てんかんの人がもっと生きやすくなる世の中をつくりたい」と思っています。
1人でも多くの人がてんかんを受け入れて、向き合うときに少しでも壁が無い世界があればいいなと思います。

 

 

2011年4月の鹿沼市、2012年4月の祇園で起きた2つのてんかん患者が起こした事故は、多くの人に影響を与えました。

 

8年が経つ今でも、あのときの心がえぐられる気持ちは忘れられません。

2つの事故は僕の胸に大きく傷を残すと共に、活動の原動力にもなっています。

 

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